〔掲載日〕平成17年2月15日
●法則「日本人は海外で合掌をする」

2004年に大ヒットした映画『ラストサムライ』。
ハリウッドが描く「侍」スピリットに感動し、日本人の心を再認識された方も多かったのではないでしょうか。その映画に出演し、その演技力と存在感が世界的に認められた渡辺謙さんはアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ大きな話題を呼びました。

渡辺さんは、アカデミー賞の前哨戦とも言われるゴールデングローブ賞にもノミネートされていたのですが、その授賞式でこんな姿がみられました。ノミネートされた人が順番に紹介され、渡辺さんの名前が呼ばれたとき、合掌をして観衆に挨拶をしていたのです。

その合掌の姿は非常に落ち着きがあり、柔和な雰囲気で、私が僧侶であるということもあるとは思いますが、ともて良い印象をうけました。また、世界的な授賞式で合掌してくれたことが、うれしくも思われました。 
もし、あなたが渡辺謙さんと同じ立場で、日本人として挨拶をするとすればどうされますか。やはり、合掌をして微笑むという人が多いのではないでしょうか。

「ラストサムライ」という日本を題材にした作品で、日本の代表として授賞式に望んだ渡辺さんの胸には「世界に向けて日本人の心や魂を伝えたい」という強い思いがあったに違いありません。「サムライ」代表としての心があの合掌の姿に表れたように思います。

渡辺謙さんが熱心な仏教徒であるかどうかは定かではありませんが、一般的に見ても「自分は仏教徒である」と強く意識していない人でも、合掌の姿が日本人を象徴的にあらわすポーズであると捉えているようです。
 スポーツ選手や役者が海外で合掌をする姿を見たことがあるでしょう。(海外に行くと、日本人のDNAが活性化するのでしょうか)

●合掌は仏教だけのもの?

前置きが長くなりましたが、今回は日本人のアイデンティティーの象徴といっても過言ではない「合掌」についてとりあげたいと思います。

合掌とは「両方の掌(てのひら)を顔・胸の前で合わせて立てながら(仏を)拝むこと」と新明解国語辞典では説明されています。
たしかに仏に対して拝む時にすることが多いですが、必ずしもそうではありません。食事の時の「いただきます・ごちそうさま」や感謝の意を表するときなどにも合掌をします。また、海外に目を転じても日常的に合掌する習慣のある国もあります。

●合掌の起源はインド古来の礼法


そもそも、合掌は仏教発祥の地であるインド古来からの敬礼形式を由来とし、その起源は仏教の歴史より古いようです。
現在のインド人の大半はヒンズー教徒ですが、手を合わせて「ナマステ」や「ナマスカール」と言って挨拶します。ですから、必ずしも合掌が仏教固有のものであるというわけではないようです。

古来より、インド人は右手は「清浄」、左手は「不浄」であると考えて、両手を使い分ける。例えば食事をするときは右手で、トイレの際は左手を使う。これは左利きの人であっても変わらないそうです。

合掌は、「清浄」「不浄」とされる左右の掌を合わせるのですから、その姿は一切の区別や差別を超越した隔たりのない平等を意味する究極のスタイルであると捉えることができます。自分と他者との壁を一切取っ払い心からの敬意を表現しているといえます。

祈りの際に合掌をするのは必ずしも仏教徒だけにとどまるものではありませんが、やはり仏教の象徴的な礼拝のポーズです。特にアジアのタイなどに代表される仏教国では合掌が挨拶として日常的になされています。

日本においても、挨拶の際に合掌をする人はごくまれですが、日常生活にとけこんでいることは確かです。

●掌を合わせて幸せに

人間はもちろんのこと、生きとしいける総てのものに対して、また目には見えない様々な冥加に対する感謝や敬意を表す自然な姿が合掌です。
合掌することで心を落ち着け謙虚になれると同時に、自と他の壁を消し去ることができます。


某お仏壇店のキャッチコピーに「手のしわとしわを合わせて幸せ」というのがありますが、
合掌はまさに生活に潤いをもたらす”ラッキーポーズ”なのです。

皆さんも、日常生活なのかで意識的に手を合わせてみませんか。(龍)
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